「給料ファクタリング」という言葉で検索して、このサイトに来られる方がいます。先にお伝えすると、当社は給与債権を取り扱っていません。この記事は、給料ファクタリングと本来のファクタリングの違いを、公的な判断をもとに説明するものです。
給料ファクタリングとは
給料ファクタリングは、会社員などが勤務先から受け取る予定の給与(給与債権)を、業者が「買い取る」形で現金を渡し、給料日に本人から手数料を上乗せした金額を受け取る取引です。「借金ではない」「信用情報に載らない」といった説明とともに広まりました。
形式は債権の売買ですが、実態は大きく違います。給与は労働基準法第24条により、使用者から労働者本人に直接支払わなければなりません。給与債権を業者に譲渡しても、勤務先は業者に支払うことができず、本人が受け取った給与から業者に支払うことになります。つまり、業者が回収する相手は勤務先ではなく、常に本人です。
金融庁と最高裁の判断
金融庁は2020年3月、給与の買取りをうたう業者について注意喚起を行い、給料ファクタリングは経済的に貸付と同様の機能を持つため、業として行うには貸金業の登録が必要であり、登録なく行えば貸金業法違反、また利息制限法や出資法の上限を超える手数料は違法である、という趣旨を示しました。
最高裁判所も、2023年(令和5年)2月20日の第三小法廷決定で、給料ファクタリングと呼ばれる取引について、貸金業法第2条第1項および出資法第5条第3項にいう「貸付け」に当たると判断しました(無登録で営んだ業者の貸金業法違反・出資法違反の罪を認めた原判決を是認)。金融庁の注意喚起のページにも、この決定が引用されています。これにより、給料ファクタリングは債権の売買ではなく貸付として扱われることが、司法の判断としても示されています。
無登録の業者による取引は貸金業法違反であり、その手数料の多くは出資法の上限を超えているとされます。利用してしまった場合は、警察・弁護士・日本貸金業協会の相談窓口などに相談することが勧められています。
本来のファクタリングとの違い
| 給料ファクタリング | ファクタリング(売掛債権の買取) | |
|---|---|---|
| 買い取る債権 | 個人の給与債権 | 事業者が取引先に対して持つ売掛債権(請求書) |
| 支払う相手 | 常に本人(勤務先は業者に払えない) | 取引先(二社間では本人が受け取って送金) |
| 法的な評価 | 貸付に当たる(金融庁・最高裁) | 債権の売買(ノンリコースの場合) |
| 未回収の危険 | 本人が負う | ファクタリング会社が負う(ノンリコース) |
| 利用できる人 | 給与所得者 | 個人事業主・フリーランス・法人 |
本来のファクタリングでは、支払うのは取引先であり、取引先が支払わない危険はファクタリング会社が引き受けます。金融庁は、売主が回収の危険を負う契約は貸付と判断される可能性があるとも注意喚起しており、ノンリコースであることが、売買として成り立つ前提になります。
当社が給与債権を扱わない理由
- 給与債権の買取は、金融庁と最高裁が貸付に当たると判断している取引であり、貸金業の登録なく行うことはできません。当社は貸金業者ではありません
- 当社のファクタリングは、事業者が発行した請求書(売掛債権)だけを対象にしています。利用できるのは、個人事業主・フリーランス・法人の方で、取引先からの入金実績がある請求書をお持ちの場合です
- 会社員の方が給与を担保にお金を得る手段は、当社では提供していません
お申込みのときに、給与や労働の対価として受け取る報酬の請求書であることが分かった場合は、お断りしています。詳しくは対象となるお客様と債権をご覧ください。
業務委託の報酬はどうなるか
個人事業主やフリーランスの方が、業務委託契約に基づいて発行する請求書は、雇用関係のもとで受け取る給与ではなく、事業者としての売掛債権です。配信者・軽貨物の運送・建設の一人親方・営業代行などの報酬は、この売掛債権に当たります。当社のファクタリングは、こうした請求書を対象にしています。
ただし、名目が業務委託でも、実態が雇用と判断される働き方の場合は、その報酬は給与に当たる可能性があります。判断に迷う場合は、お申込みの前に LINE でご相談ください。
利用してしまった場合の相談先
給料ファクタリングの業者から返済や手数料の支払いを求められている場合は、一人で対応せず、次の窓口に相談することが勧められています。無登録の業者との契約は貸金業法違反であり、上限を超える手数料の支払い義務は認められないとされています。
- 金融庁「金融サービス利用者相談室」、各地の財務局
- 日本貸金業協会「貸金業相談・紛争解決センター」
- 警察(#9110)、弁護士・司法書士(法テラスの窓口を含む)
当社では、こうした取引に関するご相談はお受けできません。上記の窓口をご利用ください。
まとめ
- 給料ファクタリングは、形式は売買でも実態は貸付であり、金融庁と最高裁がそう判断している
- 本来のファクタリングは、事業者の売掛債権を取引先の支払いを前提に買い取る取引で、ノンリコースであることが前提
- 当社は給与債権を扱わない。対象は個人事業主・フリーランス・法人の請求書
参考・出典
- 金融庁「給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!」
- 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
- 最高裁判所 令和5年2月20日 第三小法廷決定(貸金業法違反・出資法違反被告事件。刑集77巻2号)— 裁判所「裁判例検索」で裁判年月日から参照できます。金融庁の上記ページにも引用
- 労働基準法 第24条(e-Gov 法令検索)
- 貸金業法(e-Gov 法令検索)
当社のファクタリングの対象
当社は、個人事業主・フリーランス・法人の方が発行した請求書(売掛債権)だけを対象にしています。給与債権は取り扱いません。
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、法的・税務上の助言ではありません。法令や公的機関の資料は公開時点のものです。個別の判断は弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。