「ファクタリングを使うと信用情報に載るのか」「確定申告でどう扱うのか」。個人事業主の方からよくいただく質問です。ファクタリングが借入ではないことを法律の面から整理し、税務上の扱いを説明します。
ファクタリングが「借入ではない」と言える理由
ファクタリングは、お客様が持つ売掛債権(請求書)をファクタリング会社が買い取る売買契約です。お客様が受け取るのは債権の売却代金であり、返済の義務はありません。手数料は、債権を買い取る対価です。
貸金業法は、金銭の貸付けや金銭の貸借の媒介を業として行うことを「貸金業」と定め(第2条第1項)、登録を受けた業者にだけ認めています。金融庁は、ファクタリングは法的には債権の売買(債権譲渡)契約であって貸金業には当たらないとしたうえで、次のような場合は貸付と判断される可能性があると注意喚起しています。
- 売掛先が支払わなかったときに、売主(お客様)が代わりに支払う義務を負う(償還請求権がある)
- 債権の額面より大幅に低い金額で買い取られ、実質的に手数料が利息に相当する
- 債権の売買を装っているが、実際は金銭の貸借になっている
つまり「借入ではない」と言えるのは、取引先が支払わない危険をファクタリング会社が引き受ける(ノンリコース)本来のファクタリングの場合です。当社の契約はノンリコースで、取引先の倒産などによる未回収をお客様に請求することはありません。ただし、請求書が架空だった場合や、取引先からの入金をお客様が当社へ送金しなかった場合は、この限りではありません。
信用情報には記録されない
信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター)が記録するのは、貸金業者や銀行などが行う貸付やクレジットの契約と返済の情報です。貸金業法は、貸金業者に対し、指定信用情報機関への信用情報の提供と照会を義務づけています(第41条の35・第13条)。
ファクタリングは貸付ではないため、この仕組みの対象外です。当社は信用情報機関に加盟しておらず、お客様の信用情報を照会することも、取引を記録することもありません。過去に延滞や債務整理があっても、それ自体を理由にお断りすることはありません。審査で見るのは、請求書の実在と取引先からの入金実績です(必要書類と審査で見られること)。
逆に言えば、ファクタリングを使っても信用情報に「良い記録」が付くこともありません。
確定申告での扱い
ファクタリングで受け取る買取代金は、新しい収入ではありません。もともと売上として計上している売掛金を、期日前に現金化したものです。売上の二重計上にならないよう、次のように整理します。
- 売上:請求書を発行した時点で、これまでどおり売上に計上する
- 売掛金の消し込み:買取代金を受け取った時点で、売掛金を減らす
- 手数料:額面と買取代金の差額を、費用として計上する
手数料の勘定科目
手数料は、一般に「売上債権売却損」「債権売却損」などの科目で処理されます。会計ソフトに科目が無ければ「支払手数料」や「雑損失」で処理している例もあります。どの科目を使うかで税額は変わりませんが、決算書の見え方が変わります。継続して同じ処理をすることが大切で、迷う場合は税理士にご確認ください。
消費税
金銭債権の譲渡は、消費税法上の非課税取引です(国税庁タックスアンサー No.6201「非課税となる取引」)。ファクタリングの手数料には消費税がかからず、仕入税額控除の対象にもなりません。手数料の計算は手数料の決まり方と計算方法で説明しています。
保存しておく書類
債権譲渡契約書(電子契約の場合はその PDF)、買取代金の入金記録、取引先からの入金と当社への送金の記録は、帳簿書類として保存します。法人の帳簿書類は原則 7 年、個人事業主の帳簿や決算関係書類も 7 年(一部 5 年)の保存が求められます。電子契約の PDF は、電子帳簿保存法の電子取引データとして保存します。
融資と比べたときの向き不向き
ファクタリングは融資ではないので、どちらが良いという話ではなく、用途が違います。
| ファクタリング | 融資(参考) | |
|---|---|---|
| 法的性質 | 債権の売買 | 金銭の貸借 |
| 返済 | なし(取引先が支払う) | あり |
| 信用情報 | 記録されない | 記録される |
| 費用の性質 | 手数料(債権額に対する割合) | 利息(期間に応じる) |
| 向く場面 | 売掛金の入金を待てないとき | 設備投資など長期の資金 |
手元の請求書の範囲でしか資金化できないこと、利用のたびに手数料がかかることは、ファクタリングの限界でもあります。継続的な運転資金の不足は、本業の収支の見直しや専門家への相談が必要です。
まとめ
- ファクタリングは債権の売買であり、返済の義務はない。ノンリコース(償還請求権なし)であることが、貸付と区別される前提
- 信用情報機関には記録されず、当社は照会も登録もしない。過去の信用情報を理由にお断りすることはない
- 確定申告では、売上はこれまでどおり計上し、買取代金で売掛金を消し込み、手数料を費用にする。手数料に消費税はかからない
- 契約書・入金と送金の記録は帳簿書類として 7 年保存する
- 継続的な資金不足は、ファクタリングだけでは解決しない。収支の見直しや専門家への相談を
参考・出典
- 貸金業法 第2条・第13条・第41条の35(e-Gov 法令検索)
- 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
- 国税庁 タックスアンサー No.6201「非課税となる取引」
- 国税庁 タックスアンサー No.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」
- FINSTEP サービス内容/よくある質問
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